かわいい笑顔 ~恋した彼は高校生~
「さて、綾子ちゃんと桃香ちゃんは方向どっち?」
「あ、私はS駅です」
と、綾ちゃんが答える。
「あ、そうなんだ?偶然!俺、N川駅!隣の駅じゃん!桃香ちゃんは?」
綾ちゃんと隣の駅と知ってちょっと嬉しそうな誠くん。
「私は、K駅なんで逆ですね」
「あ、じゃ~祐介と方向一緒じゃん!祐介送って行ってあげろよ!」
「うん、もちろん!じゃ、一緒に帰ろうか?」
祐介くんが笑顔をこちらに寄せる。
背が高い祐介くんは、私を覗き込むみたいに少しかがんでる。
「あ、はい」
そう返事するのが精一杯だった。
祐介くんは、本当に穏やかな人で、
誠くんとは正反対な感じだったから、
電車の中でもポツリポツリと会話しただけ。
駅でお別れを言って、私は電車を降りた。