かわいい笑顔 ~恋した彼は高校生~
「…うん。ごめんね。あのね…実は…」
「俺が話すよ。桃香ちゃん辛いだろ?」
柏木先輩が、桃香を庇うように言った。
それだけを見ても、特別な関係に見えて苛立つ。
「実はな…偶然なんだけど、桃香ちゃんが痴漢に遭った時、俺が居合わせて助けたんだ。」
「え…?」
「桃香ちゃん、相当怖かったんだろうな…小刻みに震えてて…それで俺…つい抱きしめていしまって…」
「痴漢…?」
痴漢?
なんだよ、それ…
「それでその次の日な、また偶然駅で会って、電車乗りたくなさそうだったから…
話聞いたら、お前と話せなかったって言うから、一緒に電車乗ってあげたんだ。
その後も毎日お前と連絡つかないって不安そうな桃香ちゃんを放って置けなくて…」
「桃香…ほんと?」
俺は、よく理解できない頭で、
桃香を見て聞いた。
「うん。ごめんね。怖くて…柏木さんに助けてもらったら…ホッとしちゃって…
でも…そんなの言分けだよね…陸くんをこんなに傷つけてたなんて…ごめんなさい」