かわいい笑顔 ~恋した彼は高校生~
お父さんとお母さんは、今だに名前で呼び合う。
とても仲の良い夫婦だと思う。
だからこうして花火大会に2人で来たりするんだろう。
どこかの屋台で、何か買ってきたみたいなお父さんは、
私たちを見て、そしてお母さんの方に向き直って笑顔を向けた。
「さくら?君は、なぜそんなに怒っているんだい?」
「だって…卓也さん…私は桃香に幸せになってほしいのよ!」
そう必死に訴える母の視線に、笑顔を見せて、
それから、私の方へ視線を向けた。
「桃香は、今幸せなのか?…その彼と一緒に居る事が…桃香の幸せ?」
真っ直ぐな眼差し。
逸らさず、しっかりと答えた。
「うん。私今すごく幸せ!陸くんと出逢えて、初めて本当の幸せを知ったの」
「うん。いい恋してるんだね」
「うん」
私は笑顔で答えた。