かわいい笑顔 ~恋した彼は高校生~
「少しは落ち着いた?」
「…うん。」
「はい、ホットココア」
目の前のテーブルに置かれたマグカップ。
「…ありがとう。」
ここは、陸くんのお家。
ご両親は共働きらしくて、ご不在で…
勝手にお邪魔してしまってるんだけど。
「何でかな…。ほっとけないや…」
「……」
「俺ね、ホテルで桃香さんの話聞いて…桃香さんがどれだけ彼氏さん好きか思い知った」
「……」
「だからね、1度デートしてきっぱり諦めようって思ってたの。だから今朝あの電車乗らなかった」
意を決したように、でもどこか切なそうに陸くんがそう言った。
「……朝…陸くんが居なくて…悲しかった」
「…可愛いこと言うね。でもね、本気で桃香さんのこと忘れたいんだ…」
「……」
忘れたいって言葉に何も言えなかった。