かわいい笑顔 ~恋した彼は高校生~
家に帰ると、ベッドに1人寝てる健吾の姿。
それを見ただけで、胸がギュッと締め付けられてしまう。
「…健吾、ごめんね…」
寝ている健吾の額に手を当てたら、
もうだいぶ熱は引いてるようだった。
「ん?…はるか…?」
小さな声でそう呟いた健吾…
え…?
はるかって…誰…?
「え?…健吾?」
「…桃香…?」
健吾が目を開けて私を見る。
「健吾…大丈夫?」
「うん…もも、今日は遅かったんだね」
ベッドの上の時計を見ながら、健吾がそう言う。
「うん…月末で、しかも美香ちゃんがミスっちゃって…ごめんね、遅くなって…」
「そか…大変だったな。お疲れさま」
「うん。健吾ご飯は?」
「…いや、昼の残り食った。だからもういいや。もう寝るな…」
「…そっか。わかった。ゆっくり寝てね」
「ん。おやすみ」
「おやすみなさい…」
たしかに…今健吾、「はるか」って言ったよね?
はるかって…誰なの?
私は桃香だよ…
誰よ、はるかって…
得体の知れない不安が…
私の心を渦巻いていた。