かわいい笑顔 ~恋した彼は高校生~


「…もも…?」

「…はるか…って誰…?」

「…今の…」

「ねぇ…はるかって誰?」


焦ったような困ったような表情の健吾。


「…はるかは、同じ営業の子」

「健吾と…付き合ってるの?」

「まさかっ!違うよ!!!」

「じゃ…何で?何で…昨日家来たの?」

「…来てないよ」

ちょっと言葉に詰まった健吾は、
視線を足元の方へと落とした。


「嘘だもん…ア、アイスとか…りんごの皮…ごみ箱にあったもん!」

「…桃香…それはね、」


ハッとした顔をして、健吾が顔を上げて私を見た。

でも私は、健吾の言葉を聞かずに続けた。



「昨日…はるかって…うわごと言ってた…」

「…桃香、はるかはね、本当にただの後輩なんだよ…」

「じゃ…なんではるかなんて呼ぶの?彼女みたいじゃない…」


不安で、怖くて…
涙が止まらない。


「…はるかは佐藤っていうんだけど、営業部には佐藤ってやつが2人居るんだ。
だから佐藤達はみんなから下の名前で呼ばれてるんだ。俺だけじゃないよ。」



健吾が否定すればする程、嘘に聞こえる…


だってさっきの甘い優しい話し方は、
同僚へ向けられたものじゃなかったもの…


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