かわいい笑顔 ~恋した彼は高校生~


「健吾さんをちょうだい」

そう言う真奈美の申し出でに、

真奈美の目を見て、私はゆっくり答えた。



「真奈美…健吾はあげれない」

「桃香…何で?…桃香ずるいよ…」

「ずるいって?」

「今までさんざん健吾さん独り占めしてきて、これからも独り占めするなんて…」


反抗的な真奈美の視線が痛い…



「独り占めか…でもごめんね、真奈美。でも健吾はあげれない」

「何で?何で?私のが健吾さんを好きだよ?」

「…私だって本気で好きだったよ!誰かに取られるなんて思ってなかった」

「……」

「何が独り占めよ。真奈美だって、健吾に抱かれたんでしょ?共有してたんじゃない!」

「…でも心は…いつだって桃香だけのもの…」


真奈美の瞳からまた涙がポロポロと零れ落ちる。



「だから何?心がなければ浮気していいの?」

「許せないんでしょ?だったら、私にちょうだいよ!」

「…だから、真奈美にはあげない!」



私たちのやり取りを見てた健吾が、嬉しそうに言った。


「桃香、あげないって…じゃ俺と…」

「健吾、私…。健吾の事…」

< 93 / 596 >

この作品をシェア

pagetop