かわいい笑顔 ~恋した彼は高校生~
「私ね、今…好きな人がいるの。とっても大好きで、とっても大事な人なの…
でもね、彼と出会う前の私は本気で健吾が好きだった。健吾だけが全てだったよ」



これは、私の本当の気持ち。

今まで健吾だけを愛してきたし、健吾だけが全てだと思ってた。


過去、これからの未来も…



「……」

「健吾との未来を夢見たし、毎日が幸せだった。…何も知らない頃はね」

「桃香…俺は…」


健吾の言葉を遮るように私は続けた。



「健吾が、はるかさんの名前を読んだ時、直感で感じたの。何かあるって…
はるかさんと電話してる声で決定的だと思った。健吾は私だけじゃないって」

「……」


「それから苦しかったよ。でね、そんな時、彼に出逢った。
その彼に会った日ね、皮肉にも街で健吾を見かけたの…」

「え?」

「はるかさんとラブホに入っていったの。
その現場見ちゃったの。私が突然休んだあの日ね」

「…お前、見てたのか?」

驚きの表情を見せる健吾。

私は頷いて、続けた。


「その時、いっぱい涙が出たよ。好きだったから、健吾を誰より…愛してたから…。
いっぱい溢れてくる涙が止まらなくて… でもその時、私の傍に居てくれたのは…
その日出逢った彼だった。泣いていいよってずっとずっと抱きしめてくれてたの」


「……」



健吾は黙って聞いてた。


私の気持ち。

どれだけ辛かったか…。


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