想うのはあなたひとり―彼岸花―
彼の存在に気付いた私はどこか安心した。
黒い車から顔を出す保科さん。その顔は笑顔で溢れていた。
現在、保科さんは椿に関わっている。
椿の少年院での態度、更生期間について、または面会制度など。
全面的に椿と関わっている人物だ。
「今から椿くんのところに行くつもりでさ。どこかで見たことあるなぁって思ったら妃菜子ちゃんだった。少し大人になったね。制服似合ってるよ。乗りな?面会しに来たんでしょ?」
「すいません、じゃあお言葉に甘えて…。椿に会うの…久しぶりだから。制服、変じゃないかなって心配だったんです。でも保科さんの言葉で安心しました」
昨日迷ってたんだよね。
制服でいくか私服でいくか。
椿に見せたかったんだ、どうしても。
「可愛い」なんて言葉は望んでないよ。
ただ見せたかっただけなの。
「椿くん、すごく妃菜子ちゃんに会いたがってたよ」