想うのはあなたひとり―彼岸花―


法律のことなんて分かるわけがない。
事件以来、ニュースも見なくなった。
見たくなくなったのだ。
毎日残虐な事件が起きている世の中をこれ以上見たくないから。



保科さんが発した声のトーンが低くなった。
それくらいシビアな話してるだということが伝わってきた。



「更生期間は…本人の希望もあるからね。1年の人もいれば3年の人もいる。椿くんが早く更生したいと願えば早くなる可能性もある。けどこればかりは僕には分からないかな。椿くんの意志だからね。…着いたよ」




椿がもし長期期間と望めば、きっと私たちは成人を超しているだろう。
それでも遅くはないのだけど、私は…少しでも早く一緒になりたい。



私の欲望ばかり聞いてくれるほど世間はうまくできてないことくらい知っている。


だって私たちは恋人なのだけれど…世間では被害者と加害者なのだから。




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