想うのはあなたひとり―彼岸花―


眉間に皺を寄せたいのは私の方よ。



「え?どういうこと?」




「まぁたぶんもうすぐ分かるよ?今日はまだ皐が来てないんだ。アイツ遅刻するって言ったきり来ないんだよ」




「そうなんだ…」



だから皐の席が空白で存在がないのね。


何だ…つまらないの。



「あー!!今あなた寂しそうな顔した!!」




「えっ??」




突然大きな声が耳に入ってくる。
私は慌てて横を振り向いた。
そこには私を鋭い視線で見つめる女の子がいた。
弘樹の隣で話していた女の子だ。
端正な顔立ちに、色白な肌、そして真っ赤な唇の隣にある、笑いホクロが印象的な…美少女。
さらさらなロングヘアーには思わず手を入れたくなる。
きっと杖毛に気にしたことないのだろう。




「こら!小絵(さえ)やめなさい!」




「だって!ライバル増やしたくないもん!」




…あなた、誰?



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