想うのはあなたひとり―彼岸花―



突然現れた“小絵”という女の子。
初めて会ったのにライバル扱い?
いつ私が皐が好きって言った?


きっと今の私、口をぽかんと開けて間抜け面しているのでしょうね。



「ごめんね!妃菜子ちゃん!こいつ、船木小絵(ふなき さえ)って言うんだけど、ちなみに妃菜子ちゃんの前の席ね。見た目はこんなんだけどすごいいい奴だから!」




「弘樹、そんなフォローいらないから!花本さんは皐と仲良いの?」




小絵は紙パックのいちごオレを飲みながら私に聞いてきた。
いちごオレの鮮やかなピンク色のパッケージが私の視界にちらちら映る。

いちごオレが苦手な私には嫌な光景。
だって飲む前から「これは甘いです」と主張している飲み物なのだもの。




「仲は…良くないです…」




今ここで「隣に住んでます」なんて言った殺されそうだからやめよう。
苦笑いでもして逃れられないかな。




< 115 / 385 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop