想うのはあなたひとり―彼岸花―


「小絵、まじでやめな?そうやって決めつけんの。妃菜子ちゃんは彼氏いるし。ほらほら座って」



小絵の手を引き、元いた場所に座らせる弘樹。
その表情を見て私はピンときてしまった。

もしかして…弘樹…この船木小絵のこと…好き?



昨日の弘樹の言葉を思い出す。
「俺が好きな人は皐が好きだから」


確かにそう言っていたよね?


私は弘樹と小絵を交互に見て勝手に想像をしていた。



「なんだ!彼氏いるんだ!じゃあ安心!花本さん、疑ってごめんね?仲良くしようね。席近いからさ!」



小絵は満面の笑みをしていちごオレを美味しそうに口に含んだ。




人に触れたのは何年ぶりだろう。
指折り数えてもたぶん両手では足りない。


恋人、友達、仲間。




私にはまだ知らない世界が多すぎる。




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