想うのはあなたひとり―彼岸花―


花のある生活を、俺が送ってあげたかった。


コスモス、キンモクセイ、サザンカ、胡蝶蘭。
店頭に並んでいた可愛い花を選んだ。

全ては奈月のため。


お前は気づいていたかな?



「皐がお花を持ってきてくれるから、教室が明るく見えるよね」



ある日の休み時間。
奈月は俺のいる場所までやってきてこう言った。
今日の奈月、何だか雰囲気が違う。
髪の毛をアップにしているからかな。



「そう?俺にはわかんないけど。何か…今日奈月雰囲気違うね。何で髪の毛結んでるの?」




「だって今日…体育あるから。今日からバスケなの。ほら、暑いじゃない?」




そう笑って言った。
気のせいかもしれないが、頬がピンク色になっている。
今日の気温は19℃。
そんなに暑くないのに、どうしてかな



「ふーん、そっか」




「似合わないかな…?」






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