想うのはあなたひとり―彼岸花―
~9.神様の悪戯~
その日の夜空はあまり綺麗じゃなかった。
真っ暗な空に浮かぶ半月が、どうも不気味に見えて仕方なかった。
そしてこの日の夢もあまり良い夢ではなかった。
内容は覚えていない。
でも起きたときのモヤモヤが気持ち悪かった。
神様は悪戯をした。
この時の私には分かるはずがない。
空の上で計画を練っていたのだから。
ノートを広げて寝そべりながら私を陥れる計画を立てていた。
残酷よね、神様は。
一度も私の手助けをしてくれない。
どんよりとした天気は何を表すのだろうか。
カーテンから覗く空を見て思った。
私はしばらくそうしたあと、学校の準備をした。
隣にいる皐は今何を思っているのだろう。
薄い壁なのに声すら聞こえない。
トントンとノックをしたら返事をしてくれるかな。
私はリビングの壁を見つめながら思った。
だけどそんな勇気はない。