想うのはあなたひとり―彼岸花―


こんなワガママを受け入れてくれなんて卑怯だよね。




目の前に座る椿は笑顔で満ちていた。
私も笑おうと頑張ってみるが、なかなか笑えない。
すぐ消えてしまう。



「…学校は慣れた?今日は行かなかったの?」




「…え?」



「ほら、制服じゃないからさ。休んだのかなって」




分かったかな?
私がズル休みしたって。
分かるよね、だって私嘘をつくのは苦手だから。
馬鹿だから、私は何も考えずに口に出してしまったのかもしれない。



「今日は体調悪くて…学校はだいぶ慣れたかな。友達もできて…楽しいよ。それに…」




「…それに?妃菜子の友達ってどんな人なのかな。ちょっと気になる」




椿の白い歯が純粋を表していた。
私は一体何色で表すことができるだろうか。





薄汚い…ブラックかな。




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