想うのはあなたひとり―彼岸花―
電話を切り、溢れてくる涙をティッシュで抑えた。
そしてカーテンを開けて空を確認する。
昨日の雨とは一転し、明るい空になっていた。
私の好きなオレンジ色。
まるで応援してくれているよう。
「頑張るよ…」
空に向かって誓う。
もう一度、あなたの笑顔を見られることを願う。
グレーのパーカーにデニムのスカートを身に纏い、外へと飛び出す。
ポケットには携帯。
いつでも連絡できるように。
鍵をかけて歩き出す。
鍵についたキャラクターマスコットが元気に揺れている。
久しぶりに外の空気を吸ったからだろうか。
私もマスコットと同じ気持ちだ。
夕方の空。
もう反対側から夜が見え始める。
皐…今からあなたに会いに行きます。
逃げずに私の瞳を真っ直ぐ見てください。
S町行きの電車に乗り、緊張を解していく。
なんだか…気持ち悪い。
ご飯食べてないからかな。