想うのはあなたひとり―彼岸花―
~11.満天の星空の下で~
なぜ人間は自分の本当の気持ちや素直な感情を誤魔化したり、隠したりするのだろう。
なぜ人間はこんなにも不器用なのだろう。
いつも思う。
でも人間に産まれてきたからには、それを理解しなければならない。
私はまだ理解していないようだ。
この時、リュウに言われなかったら私は苦しんでいただろう。
あの約束…守るよ。
冷たい風が吹き抜ける。
もう夜がすぐそこまで来ていた。
「…ど…れい?」
リュウが言った言葉に固まってしまう。
何を言っているの?
どうして…そんなことを…?
リュウは玲奈の奴隷?
まさかそんなわけないじゃない。
証拠は?証拠はあるの?
奴隷だから指示されたことをするの?
そんなの…おかしいよ。
「そう、奴隷。僕…お腹減った。今時間あるよね?ちょっと付き合って」
そう言ってリュウは近くにあったファーストフードに入って行った。
ちょっと私の質問は無視?