想うのはあなたひとり―彼岸花―
それは証拠写真だった。
あまりにも唐突すぎて頭の回転が悪くなる。
でもそれを見たらすぐに理解できた。
古びた写真の中には、まだ1歳にもならない頃だろうか。
二人の男の子がこちらを見て笑っている写真だった。
その二人があまりにも似すぎていて、双子だと一瞬で伝わってくる。
まさか、そんな。
頭の中を駆け巡る言葉たち。
それを見て皐はごくんと唾を飲んだ。
「…な、なんだよこれ…」
「椿は俺の息子だ。そしてお前もだ。お前たちは…」
ぎゅっと目を閉じる。
開いたら花畑になっていたらいいのに。
でもきっとその花畑は七色には染まっていないの。
真っ赤に染まっているの。
広がるのは彼岸花の花畑。
どくん、どくん。
心臓が高鳴る。
血液が全身に行き渡る。
呼吸をする。
酸素を取り込む。
二酸化炭素が出ていく。
…私、生きている。
「双子なんだ…」