想うのはあなたひとり―彼岸花―


まだこんな弱い私に体力が残っていたなんて。


酷い、ひどい、ヒドイ。



もう嫌だよ。
もう疲れちゃった。
涙が止まらない。



今から行ってもいいかな。
あなたとの思い出の場所。
きっと今日も穏やかに流れているのでしょうね。
私の涙も穏やかだったら心に少しだけ余裕ができたのかな。



傾く太陽。
水面に反射する丸い太陽。
揺れる、草花。



思い出の河川敷。
あなたとの思い出の河川敷。


気がついたら体が勝手にこの場所に来ていた。
彼岸花が咲いていた辺りに腰を下ろす。
だって私は彼岸花だから。

ちょこんと体操座りをし、流れる川を見つめる。




「椿、どこにいるの?私、ひとりぼっちは嫌だよ。苦しいよ、辛いよ。疲れちゃったよ。」





こう呟いても返事はない。
当たり前だ。
だってもう椿は…。





「この世界に椿と二人きりだったら良かったのに…」






私の一言で運命は変わった。




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