想うのはあなたひとり―彼岸花―
皐が真っ直ぐ私の顔を見つめる。
そこにはちゃんと椿の存在もあった。
「椿と約束したんだ。妃菜子の隣にずっといて欲しいって。泣かせないでくれって。だから俺はお前の隣にずっといる。お前が嫌がっても傍にいる。これからの未来、お前と一緒にいたい」
言葉を失った。
ただゆっくりと涙が流れる。
私は、この人を愛してもいいですか。
「…私料理できないよ?」
「俺が料理するよ」
「私すぐ怒るし…ヤキモチ妬くよ?」
「妬いていいよ。俺も妬くから」
「…寝相悪いよ?」
「布団蹴ってたら俺が直してあげる」
「…私から離れないでよ?」
「ずっと…傍にいるよ…」
私は皐に抱きしめられた。
その腕は優しく、強く。
もう一度愛そうと誓うように。
私はあなたを、一生懸命愛します。
だから離れないで。
ずっと…隣にいて。
椿、あなたの存在は消えることはないけれど…空から見守っていてください。
でも私はまだ知らなかった。
あなたの本当の優しさを。
「妃菜子、キスしていい?」
「うん、いいよ」
オレンジ色に染まる世界で、
あなたとキスをする。