想うのはあなたひとり―彼岸花―
叶えるのは神様じゃないのにね。
自分で叶えるものなのに…笑えちゃう。
椿、私は今日あなたに似た人と出逢いました。
性格は全然似ていないけれど、笑顔も声も瞳も…全部、あなたに似ています。
だからね、少しだけ高校生活が楽しくなりそうなの。
あなたが隣にいたらと思うと…気持ちが楽になる。
そう言ったら…怒るかな…
込み上げてくる涙。
私は人前で泣けるほど勇気はない。
一人で泣いて、一人で解決をする。
そうしたら誰も犠牲にしなくて済むから。
でもね、人間は一人では生きていけない可哀想な生き物なんだ…。
…学校の帰り道。
私は下を向きながら歩いていたとき、ふと思い出した。
「あ、買い物…しなきゃ…」
気づいてたのはマンションの数メートル手前。
近くのスーパーはさっき通ったばかり。
引き返すしかないかな。
ご飯食べなきゃお父さんに怒られちゃうしね。