想うのはあなたひとり―彼岸花―
その声を聞いた途端、体がびくりと反応した。
…椿?
慌てて後ろを振り返ると、そこには首を傾げる、皐がいた。
「なんで?ここにいるのよ!」
突然現れすぎる、本当に。
さっき別れたばかりなのにまた会ってしまった。
もしかして最後に言った皐の意味ってこのこと?
やっぱり皐は私のストーカー?
そう思ったら急に寒気が走った。
「理由はまぁ…ね。妃菜子、料理作れるんだ?焼きそば麺に…キャベツ、もやし、豚肉…ん?人参?」
カゴの中身を見ながら、会話を進めていく椿。
皐の顔を見ると眉間に皺が寄っていた。
「なによ…?」
「んー…だいたい想像つくんだよね。今日のメニューは焼きそばだって。確かに焼きそばって美味しいよね?でも…焼きそばに人参って入れるの?」
え、何言ってるの?
人参は主役のようなものでしょ?