想うのはあなたひとり―彼岸花―
それくらい知っているんだから。
素直に白状しなさいよ。
ぱたん、と閉まる冷蔵庫。
私はしばらくその前で考えごとをした。
焼きそばソースかソースがないと焼きそばは食べられない。
…ということは?
お昼ご飯…抜き?
折角引き返して買った材料が無駄になるじゃない。
ため息を漏らして先ほど入れた材料を袋の中に戻した。
自分でも驚いた。
自分の行動に。
どうしてそんな行動したかなんて理由は聞かないで。
…わからないの。
ドアのある廊下を歩いていく。
袋を持ちながら。
靴を履いて部屋から出ていく。
そして向かった先は数メートルの場所。
歩くと5歩くらいだろうか。
「…ソースくらい持ってるよね」
小さく笑いインターホンを鳴らす。
あの、すいません。
早く開けてくれません?
私のお腹、空腹です。