想うのはあなたひとり―彼岸花―
答えを求めたら、答えは見つかるのかな?
どうしたら答えは見つかるのかな?
私の問いかけに黙る皐。
静かな空気がそこにゆっくりと流れていた。
未来に針が進んでいく。
「…誰だっていいじゃん?」
そう言った皐の背中がとても寂しそうだった。
私は視線をずらし、液晶テレビに顔を向ける。
気づいてしまった。
テレビの上にある、物体を。
本来なら立っているはずのものが、なぜかそこには寝た状態だった。
私は、興味があるの。
あなたの中を見てみたい。
立ち上がり、テレビに近づく。視界に映ったものは、写真立てだった。
ゆっくりと手を伸ばし、それを手に取る。
その瞬間がやけにスローモーションで世界が動いていたような気がした。
そして一定の速度で呼吸をし、写真立てを裏返しにする。
皐は私にこう言ったよね。
蜜蜂は甘い蜜を何度も求めにくるって。
私のが先だったかもしれない。蜜蜂になったのは。
甘い蜜を求めたのは私が先だった…。
呼吸が止まる。
写真に映っていたのは、学ラン姿の皐と、呼吸の仕方を忘れてしまうくらい…
私によく似た女の子だった。