想うのはあなたひとり―彼岸花―
「…ちょっと待って。出来上がったから…皿にのせるわ」
そう言って食器棚から真っ白なお皿を二枚取り出し、フライパンから焼きそばを解放していく。
先ほど皐が言っていたことは本当だった。
焼きそばの色が少し濃い。
「とりあえず、ソファーに座って」
「…分かった」
皐に言われた通り、私はソファーに戻り座った。
この時、食欲など無かったことは言うまでもない。
「どーぞ。お食べになってください…」
テーブルに置かれた熱々の焼きそば。
その隣には写真。
写真の中の女の子とさっきから目が合うのだけど…それは気のせい?
私に見られている気がして落ち着かない。
「…この子は誰?」
「唐突だね、妃菜子さんは。
俺のことそんなに知りたいの?」
知りたいよ、とっても。
あなたは何を抱えて生きているの?