想うのはあなたひとり―彼岸花―


弘樹が言っていたように、言ってくれたのなら出来るだけ支えられるように努力はするよ。


言ったじゃない…


私と出逢ったのは運命かも…って。




「教えてよ。私に知られたくないことなの?」




「うーん…言ってどうなる?きっと妃菜子は何も出来ないよ?」




笑いながらこう言った皐の言葉を私は小さな体で受け止めた。確かに何も出来ないかもしれない…けど…、何か出来るかもしれないじゃない。


椿が私を支えてくれたように、私は誰かの支えになってみたい。
もちろん、椿も支えるよ。
椿が一番だもの。




「そうね、何も出来ないかもしれない。でもあなたの心が今、闇だったら、私が光を作ってあげるわ。私はそうやって助けられたから。」




椿に…。
自由をもらったから。





「…こいつの名前は池内奈月(いけうち なつき)って言ってさ。俺の大事だった人。彼女ではないけど…でも…」





「でも…?」





あなたの抱える闇は、私の存在で消すことはできませんか。





「…死んだんだ」





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