窓に影

 はいはい。

 どうせバカですよ。

 そう思いながらも、悔しさが爆発的に込み上げる。

 悔しさは反抗心へと変化し、歩以上の強い口調になってしまう。

「バカバカ言わないでよ! あんたの教え方が悪いんじゃないの?」

 ノートに書いては消して、書いては消して……。

 私は精一杯考えてるつもりなのに。

「教えるも何も、基礎中の基礎だろ。正解の公式はさっきから何度も教えたし、書かせたし、あとはお前が覚えるかどうかだ」

 くっ!

 覚える気はあるもん。

 わからないだけだもん。

 私はひっぱたいてしまいたい衝動を押さえ込み、再びノートに向かった。

 激しい言い争いが続く中、時間はどんどん進んでいった。

 数列の基礎問題を攻略するだけで、二時間が経過。

 今日一日分のカロリーを消費したような疲労感が体中を縛り付けた。

「お疲れ様~」

 時間を見て来たのか、母がお盆を持って部屋へやって来た。

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