窓に影

「40点」

 外面は好青年の彼から冷たく言い放たれた点数に、私は萎縮した。

「まったく……先週やったばっかだろ?」

 赤ペンで額を小突かれた私は、自分でも情けなくて言い返せなかった。

 先週やりきった冬休みの宿題から、歩はテストを作ってくれていた。

 それをやった結果が40点。

 いやいや、赤点じゃないし……なんて思っていたら、今日も解けるようになるまでしつこく数式やら解き方やらを叩き込まれた。

「おやつの時間よー」

 パンク寸前だった私の頭に神の声が響く思いだ。

「やった!」

 今日一番の声を上げてテーブルへと移動した。

「あんた、今日は大人しいわね。珍しく下まで声がしなかったわよ」

 母にからかわれ、膨れっ面を見せる。

 歩は爽やか少年の顔になり、フォローを入れる。

「大丈夫、ちゃんと勉強してるよ」

 その言葉に満足した母は、私ではなく歩に「頑張ってね」と言って去って行った。

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