窓に影
翌日、学校にいる間に歩からメールが来た。
〈今日は俺んちに来い〉
まあどっちでもやることは一緒。
〈はーい〉
と、やる気のないメールを送った。
「恵里」
後ろから急に声がしたから驚いて振り向くと、聡美がニヤケ顔で携帯を覗いていた。
「聡美! 覗かないでよ、趣味悪いな」
「失礼ね。見えただけよ」
そのポジションでよく言うわ。
聡美は席替えで私のすぐ後ろになったのだ。
「あんた、彼氏とうまくいってんの?」
歩のメールを見たからか、心配してくれているらしい。
「いってるよ」
「地味山とは?」
「今まで通りだね」
「ふーん。じゃあ、俺んちに来いって深い意味はないんだ」
深い意味って……まさか。
「今更ないよ。ただの勉強」