窓に影
自分の問題を解きながら、二人の様子をチラ見した。
前にカフェで見た時のように、目線を合わせて優しく微笑み合っている。
話している英語の意味はレベルが高すぎてよくわからないけれど、二人の雰囲気から感じ取れるものは温かい。
私さえいなければ、二人はもっと幸せになれる気がして切なくなった。
少しだけ泣きそうになって、気を紛らすためにも英語にふけった。
「今日はありがとうございました。英語のテスト頑張ります」
「うん。頑張ってね」
「数学も頑張れっての」
「うるさいな、わかってるし」
挨拶を交わして、自宅へ戻る。
来る時には気付かなかったが、西山家の駐車場に、響子さんの車が停まっていた。
無性に切ない。
私は部屋に入るなり、携帯を開いて電話をかけた。
「あ、悠晴? あたし」
「おー。どうしたの、こんな時間に珍しいな」