窓に影

 冬の風を受けて冷たくなってしまった頬を、手のひらで暖める。

 指についた結露が右のこめかみに触れてヒヤッとした。

 何傷心しちゃってんの、あたし。

 ああ、そうだ。

 嫌い、なんて言われ慣れてないからだよ。

 短い響きなのに、心には随分重くのしかかるんだな。

 しゃがみ込んでため息をつくと、吐き出した息がやけに熱かった。






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