窓に影
真面目な顔して、なんて残酷な質問をするのだろう。
さすが三問目。
数学と同じで一番難しい質問だ。
歩への気持ちを捨てきれていないのは事実。
しかし悠晴にも彼女として、それなりの愛情がある。
たった今まで彼氏と時間を共有していた私に、どちらかを選べというのか。
手に入らない分、悠晴よりも歩に焦がれる。
しかし歩だと答えてしまえば、私はきっと悠晴への罪悪感に押し潰される。
歩と一緒なら、共に罪を背負っても構わないと思っていた。
だけど、歩だって人のもの……。
悠晴がくれる楽しさや安心感は私の中に確かに根付いており、嫉妬や諦め、そして後ろめたさで覆われた歩への気持ちはいくらか小さくなった。
どっちの方が好きなんて、選べない。
その質問の意図は何?
私の気持ちが離れるのが嫌なの?
ムシが良すぎるんだよ。
あんたが私の彼氏でないように、私もあんたの彼女じゃない。
私は怒りに似た感情を覚えて、ぶっきらぼうに回答した。