窓に影
「悠晴」
歩はポーカーフェイスのまま、私を見ている。
そして、フッと笑みを漏らした。
「以上。質問終わり」
何なのよ、その笑いは。
歩はかけていたメガネを取って、自分の服で拭く。
再びそれを身に付けると、帰る仕度を始めた。
そんなに時間はかからない。
「じゃ、また明日な」
次の日も、その次の日も。
歩はまたなと言って、テストが終わるまで毎日うちへ通ってくれた。
質問の意図はわからないまま、私もなんとなく聞く気になれなかった。