窓に影
2・嫌いな奴




 県立北高校。

 ここは自由で明るい校風がウリの、古い高校である――。

「はぁ? 嘘でしょ」

 同じ中学出身のクラスメイト、聡美に家庭教師のことを告げたときの反応はこうだった。

「嘘じゃないよ。しかも教師って西山歩だから」

「えっ? 地味山?」

 歩はかつて「地味山」という裏のニックネームをつけられていた。

「そう。しかもちゃっかり色気付いちゃっててさぁ」

 聡美は更に信じられないと言いたそうな顔をする。

「少しはオシャレになったなぁとか思ったら、彼女までいるんだよ」

「うっそ。ありえない」

 目を見開く聡美。

 ただでさえメイクで大きく見せている目が広がる。

 私は胸まである茶色い髪の毛先をいじりながら愚痴を続けた。

「態度まで強気になってて、歩のくせにマジ腹立つんだよね」

 確かにー、なんて笑う。

 ここからは愚痴というより、悪口になる。


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