窓に影

 歩は一旦ため息をついて立ち上がった。

 そして、ベッドにダイブ。

 ボフッ

 仕事中にも関わらず、人のベッドに寝転がる。

「ちょっとぉ」

「ごめん。今日は俺が集中できてないみたい」

 珍しく弱気な発言に、私は驚いた。

「何かあったの?」

「まあね」

 両手を後ろに組んで、天井を見上げている。

 私もペンを置いて、ベッドに腰掛けた。

「今日はもう終わりで良いじゃん」

「まだあと1時間あるぞ?」

「テスト前にガッツリやったから良いのよ」

 歩は少しだけ考え、そうだなと呟いて寝返りを打った。

 またため息が漏れていることに気付く。

 こんなに辛気くさい歩は中学以来かもしれない。

「何があったのよ?」

 私までため息を漏らしてしまう。

 ため息はうつるんだってことを初めて知った。

「それは言えないな」

 
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