窓に影

「何? チューじゃ足りないって解釈していいの?」

「ちょっ……バカじゃないの?」

 歩の言葉が私をかき立てる。

 想像をすると、体は正直に疼いてしまう。

 顔が赤くなったのが自分でもわかった。

 歩は面白がるかのようにもう一度キスをして、今度は真剣な顔になった。

「もし本当に嫌なら、殴ってでも拒め」

 そんなの、できるわけないじゃん。

 本当に嫌なわけないのに。

「先に言っとくけど……俺……」

 それからなかなか言葉が出てこない歩。

「なによ?」

「やっぱ言えない」

「もう、意味わかんないし」

「はは、意味わかんないって口癖? バカ晒してるようなもんだぞ」

 抱き合っている体勢だが、いつもの歩が戻ってきた。

 ちょっとは慰められたということなのだろうか。

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