窓に影

「本当に意味がわかんないから言ってるのよ。言われたくないならちゃんと説明してよ」

 ムキになって言い返すと、楽しそうに笑う。

 それを見てちょっと幸せだと思った私は、浮気性なのかもしれない。

 いや、言われたとおり歩のせいにしよう。

「じゃあ、一つだけ説明してやるよ」

 そう言って歩はズルッと少し下にずれて、私の鎖骨に口付けた。

 体全体が甘く痺れる。

「こんなもん俺に見せんな」

 着ていたロンTの襟元を下げられ、露にされた右胸の跡。

 先日悠晴が付けた、印。

 私は一気に顔の温度を上げ、起き上がった。

「見んな! 変態!」

 枕を引っこ抜きそれでポカポカと歩の頭を攻撃した。

 嫉妬してるの?

 そう捉えていいの?

「何だよ。見えたんだからしょうがないだろ」

 歩は私の攻撃を腕で受け止めながら、笑っていた。

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