窓に影
包装紙でもなんでもない、書店の名前が書いてある紙袋。
厚みがあり、ずっしりと重い。
「何これ?」
「イヤガラセ」
「はぁっ?」
開封すると、中身は数学の参考書だった。
イヤガラセだ。
「それはネタで、こっちが本当のお返し」
そう言って着ているジャケットのポケットから、何か取り出した。
受け取ると、小さなピンクの紙袋だった。
「え? 何?」
「開ければ?」
「うん。でもなんか恥ずかしくなってきた」
「言うなよ。俺だって恥ずかしくなるだろうが」
できるだけ破かないようにシールを取り、袋を傾ける。
コロン
手に銀色の何かが転がってきた。
「ピアス……?」
「見りゃわかるだろ。しかも軟骨用だ」