窓に影
私は耳たぶではなく、軟骨にピアスの穴を開けている。
寝転がると頭部に刺さるし、毎日着け外すのが面倒で、もう何ヶ月も放置していた。
こんな目立たない穴に気付いてたなんて……。
歩のくれたピアスはキャッチの部分が玉になっていて、これなら寝転がっても痛くなさそうだ。
「どうしよう、あたし嬉しいよ」
「どうしようって何だよ。素直に喜べば?」
「うん!」
私は鏡を取り出し、早速ピアスを着けてみた。
何ヶ月も触っていなかった穴は少し縮んでいるようで、細いピアスなのにちょっとキツイ。
それでもピアスはスムーズに通過していった。
「うわ、痛くねえの?」
「開けるときは痛かったけど、今は何ともない」
最後に玉になっているキャッチをつけて、完了。
ピアスの表側はピンクのキラキラが付いていて、控えめに存在をアピールしている。
そっと耳を押さえつけてみても、刺さらないし痛くない。
「うん。これならずっと着けたままでいられるよ」
「学校行くときはダメだろ」
「北高はいいの。ありがとう。超嬉しい」