窓に影
「別れたって……いつの話?」
「いつって聞かれると微妙だけど、先月かな」
意外にも月日が経っているが、歩がおかしくなりだしたのも先月だった。
「何ですぐ言わなかったの?」
「彼氏の方が好きだと言ったお前に、言う必要はないと思った」
私たちは恋人同士でもなんでもない。
幼馴染以上、浮気相手未満。
そんな危なっかしい関係だった。
そして……歩は少なくとも私のために別れたわけではない。
「これ以上お前を惑わせたくなかったよ。だから言わなかった。でも、俺……」
私は歩に枕を投げつけた。
狙ったところには当たらず、キャッチ。
「あたしは響子さんの代わりじゃない!」
再び涙が滲んできた。
「恵里……」
「響子さんと別れたからって、じゃあ次はあたし? そんなの、ムシが良すぎるよ」