窓に影
聡美の視線は校門を捉えているようだ。
私も目を向けると、確かに南高の制服に見える。
男子生徒であるのはわかるが、顔までは見えない。
身に覚えがあるだけに悪い予感がして、私は足を止めた。
「ちょっと、恵里?」
「ね、今日は裏から帰らない?」
「もしかして、あれって地味山?」
「たぶんね」
聡美には、今の状況を説明してある。
私の気持ちは十分にわかっているはずなのに……。
「逃げたってしょうがないでしょ。あたしだって変化した地味山見てみたいし」
そう言って私の腕を引っ張って、まだ顔を確認していない南高の生徒へと向かっていった。
だんだん近づいていく。
あっちもこちらに気付く。
間違いなく、それは歩だった。
「あんた……どうしてここにいんのよ?」
「また逃げんじゃねーかと思って迎えに来た」