窓に影
カシャン
門を閉めると、それも住宅地に響いた。
二人を見ることはないまま、家の中へと入る。
この後二人がどうしたか、私は知らない。
知りたくもない。
「おかえり。早かったのね」
事態を知らない母がのん気に声をかける。
私は何でもないような顔をして笑った。
「ただいま。あたし、風呂入るね」
洗い流そう。
歩への気持ちも、悠晴との思い出も。
洗いたてのバスタオルを持って、私は風呂場へと駆け込んだ。