窓に影
14・予期せぬ再会
歩が来なくなった最初の火曜日は、試験勉強をしながら一人で過ごした。
今まで歩に叩き込まれた知識と、参考書の力だろうか。
期末テストはうまく行った。
64点。
私にしては、かなりの出来栄えだ。
両親も安心しているようだった。
7月は二週目の金曜日、9日。
試験期間に目を移したらいけないと思ってガマンしていたファッション雑誌を購入するため、この日は一人、街の本屋へと足を伸ばしていた。
目当ての雑誌を一冊確保して、他の雑誌を立ち読みする。
雑誌を買いに来た日は、こうやっていつも本屋に長居をしてしまう。
今日も何人か同じように立ち読みをしており、横一列に並んでいる。
そうしていると、私の左腕の横から新たな客が雑誌に手を伸ばしてきた。
こなれた風に体を右へずらし、取りやすいようにしてやるのが暗黙のルール。
それに従うと、左脇から雑誌が通り抜ける前に声が聞こえた。
「恵里ちゃん?」