窓に影

 ドキッ――

 何それ……?

「バッカじゃないの? 変態?」

「はは、照れてんの?」

 その時の彼の笑顔は、ニヤリでも嘲笑でもなく、小さい頃と同じだった。

 調子狂うなぁ。

「照れてないし。一回死ねば?」

「相変わらず口が悪いな。男できないぞ」

「うるさいな。死ねとかあんたにしか言わないし」

「はいはい。さっさと教科書開けよ」

 あームカつく。

 彼女いるからって調子に乗ってやがる。

 教科書の開き方で不機嫌を精一杯表現してやった。

 面白がっている歩はそれを気にすることもなく授業を始めた。

「じゃあ今日はここからね」

 鬼教師、再来。

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