窓に影

 歩はバカにしたように笑いやがった。

「北高と南高が同じことやってるわけないだろ」

 ムカッ!

「同じ高校二年生じゃない」

 私が刃向かうと、彼は私の頭にポンっと手を置いた。

「お前らと同じ勉強してたんじゃ受験なんかできねーよ。俺らは教科書の内容、もう全部習ってるし。すでに受験に向けた演習をやってるの。バカ高校と一緒にすんな」

 そのまま指でつんと弾かれ、手は離れていった。

 超腹立つ。

 こいつ、同い年のくせに偉そうに……。

 前はこんなに強気で意地悪な態度なんて取ったことなかったのに。

「さっさと始めるぞ。はい、この問題から」

 シャープペンシルを握らされ、授業がスタート。

 赤点を取るほど苦手な数学。

 特に数列なんてまどろっこしい分野。

 私は何にもわからず……。

「何度言えばわかるんだよ! お前、どんだけバカなわけ?」

 罵倒交じりに怒られる。

 歩は鬼教師だった。


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