窓に影

「こんなに勉強してたら、頭おかしくならない?」

 私は真剣にそう思った。

 歩は相変わらずのバカにしたような笑いを浮かべる。

「ならねーな。少なくとも下着で人の女に抱きついたりはしないよ」

「わー! もう、それを言わないでよ!」

 先週の私の醜態を持ち出し、ケラケラと笑っている。

 思い出せないから本当かどうかもわからないのに、恥ずかしくてしょうがない。

 こいつマジ性格最悪。

 響子さん、こんなやつのどこが良かったんだろう。

 ……なんて、人のことは言えないわけだけど。

「寝てる間にあたしに抱きついてたくせに」

 負けたくなくて、反撃開始。

「はあ? 何それ?」

「覚えてないの? あたしが起きた時、歩の腕が腰に巻きついてましたけどー?」

「何だよそれ? その時に言えよ!」

 私も私になりに考えて、こんな時のためにネタを取っておいたのだ。

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