一番の笑顔
『蓮ちゃ…ん…?』
出入口には私の大好きな蓮が立っていた。
「お客様、3名様でよろしいですか?」
ボーイに誘導され席に着いた。
「美憂ちゃん。あちらのお客さんに着いてもらえる?」
戸惑いながらも私は、蓮のいる席に向かった。
『はじめまして。美憂と言います。隣失礼します。』
「ここだったんだ。働いてる所。」
そう言いながら周りをキョロキョロ見ている。
『なんで蓮ちゃんがここに居るの?何しに来たの?
ここは蓮ちゃんが来るような所じゃないよ。早く帰って。』
睨みつけるように言った。
「お前を見に来たんだよ。
働いてる時の仕事のお前な。」
真っ直ぐすぎるぐらいの瞳に私は吸い込まれそうになった。
そんな蓮に何も言えなくなった。
すると、蓮の隣に座っていた友達らしき人が
「美憂ちゃんって言うの?
すっごく可愛いね!連絡先教えてよ!」
断る訳にもいかない。
でも蓮の前で蓮の友達と連絡先を交換するのは正直気まずかった。
『そんな事ないですよー?
可愛い子は他にもたくさんいますよ?連絡先…ですか?
じゃあ、番号教えてもらえますか?』
これは仕事だ。断る事はできない。
私はしばらく蓮の席に着いていた。
時間が過ぎ違う席に着かないといけなくなってしまった。
『蓮さん達。少し待っててもらえますか?』
私がそう言うと蓮の友達は
「えー。もう行っちゃうの?
もう少しいればいいじゃん!」
『ごめんね。またすぐに戻って来るんで。』
私の代わりに違う女の子が蓮の隣に座った。
すごく嫌だった。
蓮の隣は私が座るんだから座らないで!って言ってやりたかった。
でもそんな事言う権利なんてどこにもない。