夜の知るもの
 
かつては天に在った女は何時しか、魔を呼ぶと云われるようになっていた。




逢魔が時。


女は日々月に乗る。




「それも今宵が最後よな…」

世界は汚れすぎた。

女は目を伏せ、ゆっくりとゆっくりと息を吸い、それを何倍もの時間を掛けて吐き出していく。


純粋な絶対正義として産まれ地へと堕天した自分よりも、汚れた物は在ってはならない。

「けれど、人は汚れすぎた…」


 
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