反射
外に出ると街には明るい色とりどりの光がともっていた。夜なのにびっくりする程明るいのは変わらないな。
人も歩いている。それこそ十人十色だ。髪の長い水商売風の女、スーツを着崩したホスト、ビール腹のオッサン、金持ちそうで上品な格好をしたおばさん、黄色い声をあげる金髪のギャル、エトセトラ。
あまりに変わらない街並みに、僕は自分が刺されたのは夢なんじゃないだろうか、と思い始めた。
と、肩がぶつかる。
「いってえ。何お前。肩折れたんだけど。慰謝料ちょーだいよ」
相手は男三人組のいかにも関わったらめんどくさそうな面々だった。露出した首筋から二の腕にかけて三人で少しの違いはあるものの、似たような刺青が彫ってある。
「何黙ってんの? 死ねよ」
「・・・っ!?」
短気だなぁ、と思って彼らの構えている物を見る。本物の・・・ナイフ。
躊躇いなく襲いかかるそれを僕は間一髪のギリギリで避け、走って逃げ出した。
「あ、待ちやがれコラ!」
誰が待つかよ、バーカ。